
河と橋と嵐。
私は河を眺める
ある嵐の夜に流された橋のあったところだ
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向こう岸の人たちは、とても困っていて、
こちらの人たちは、文句を言っていた。
その橋はとても奇麗な橋で、完成したときには
あちらこちらで記事になり、皆から歓迎された。
架けられた日、私も見に行った。
それが一夜にしてなくなって皆が困り果てる。
いや、前々から、少しずつ、侵食されていたのかもしれない。
嵐はきっかけだったのかもしれない。
常に往来の多い橋だったが、その晩から人は当然来なくなった。
犬を散歩させる老人と、身体を鍛える中学生くらい。
私はそこで河の姿を眺める。
流れはとても穏やかで、日の光を浴びて煌く姿に、
その美しさを再認識する。
もちろん、橋がなくなり私も困る。
あちらへ行くには、とても遠回りだ。大きく迂回。
皆と同じように文句を言い、困った。
いや、困ったふりをしていたのかもしれない。
不便ではあるが、その河はとても心地よい。
休みの日には土手の草刈をしよう。
こころない人たちが捨てていったゴミを拾おうか、
誰か人をさそって釣りをしよう。
晴れた午後にボートを浮かべて本を読もうか、
淀まぬ川に、とても暖かいものを感じる。
時間は河の流れと同じよう。
両岸の人たちの不満はピークに達する。
限界。
河には新たに橋が架けられる。
有名デザイナーがデザインするらしい。
皆はとても喜ぶ。私もすこし喜ぶ。すこし
そこには橋が必要だから。
たぶん、私も渡るだろう。
おそらく、その橋も美しいにちがいない。
撮影者 HitoyoKarino
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